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行政書士
行政書士(ぎょうせいしょし)とは、行政書士法に基づき行政機関に提出する許認可申請書類等や契約書・遺言書等の「権利義務、事実証明に関する書類」の作成・代理などの法律事務を業とする。またはその資格制度を言う。
概要行政書士の資格は国家資格であり行政書士法にその根拠を持つ。監督官庁は総務省(旧自治省)である。マンガ『カバチタレ!』(原作・田島隆/作画・東風孝広)が週刊モーニングで連載されたことや、同作品が連続ドラマ化されたことによる爆発的人気を背景に、受験生が増加した。なお、2006年秋の試験より試験内容が大幅に変更された。
法定の除外事由がないのに、行政書士でない者が官公署に提出したり、権利義務に関する法律書類を作成することや、行政書士と類似の名称を使用することは、以下のとおり行政書士法により原則として禁じられている(非行政書士行為)。
英語表記行政書士会が公式に用いている「行政書士」の英語表記は、「Gyoseishoshi Lawyer」であり、行政書士会連合会が商標として登録している。
平成18年に、Lawyer名称は法曹の有資格者であると誤解されるおそれがあるとの理由で、日弁連からLawyerの名称の使用を取りやめるよう申し入れがされたが、日本行政書士会連合会は有識者会議において検討し、Lawyerが必ずしも法曹に限るとは言えないとして日弁連の申し入れを断った。
従来、行政書士は行政代書人という資格であったため、「Administrative Scrivener」と直訳されることがあったが、これは和訳すると「管理代書人」になってしまい、英語圏では理解されないため、近年では用いられていない。
例えば、平成19年に公表された内閣官房による「出入国管理難民認定法省令」の翻訳によると、行政書士は「certified administrative procedures specialist」(公認行政手続士)と訳されている。
また、在留許可を求める外国人からは、一般的に「Immigration Lawyer」(移民弁護士)が通称となっている。これは、在留許可手続の業務を古くから行ってきたためである。なお、弁護士は平成17年8月より在留許可手続が行えることとなっており、それまでは行政書士のみが資格者としてこの業務を行えた。
行政書士試験
難易度かつて都道府県資格の時代は、他の法律資格と比較して難易度が低く、長年法律系公的資格の「登竜門」として扱われてきた。しかしながら、国家資格への格上げ、「高卒以上」など学歴等による制限の撤廃や、漫画『カバチタレ!』による知名度の普及、近年の資格人気による受験者急増、法科大学院生の受験、また行政書士法改正により職域が拡大されたことなどによる状況変化で、ここ数年で試験内容は著しく難化している。新試験制度に移行した平成18年度では、難易度では依然として隔差があるものの、論理的思考を問う司法試験の短答式試験(択一試験)に類似した形式で出題された。
平成19年度では、択一問題の司法試験化がさらに増した。最高裁判例本文の引用問題(判例要旨ではない)や、対立する学説の理解を問う学説問題、最新の最高裁判例本文を引用した穴埋め問題(多肢選択)などが出題された。従前の出題傾向は、幅広い法分野の基本を問う問題が出題されたが、ここ数年は幅広いだけでなく、より深い法律知識や法的思考力が要求される問題に移行している。
平成15年度以降の合格率は2.9%、平成16年度5.3%、平成17年度2.6%、平成18年度4.8%、平成19年度は8.6%と極めて合格率の低い試験となっている。試験合格までの期間は、法律の純粋未習者で3年から4年、司法試験受験者で1年以内といったところである。
一定の要件の下に無試験で登録を認めるいわゆる特認制度については、国家試験制度の根本に関わる問題であり、能力の担保が不十分であることや、不公平という批判が相次ぎ、司法制度改革が進む中、業務拡大を望んでいる行政書士としては、能力の担保を設定するためにも特認制度の廃止(もしくは科目免除制への移行)を求める声も少なくない。
行政書士の業務法定業務行政書士の法定業務は第1条の2に規定する独占業務(書類作成業務)と、第1条の3の非独占業務(代理人として作成、提出代理、書類の作成相談)である。
独占業務
第1条の2 行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類(その作成に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)を作成する場合における当該電磁的記録を含む。以下この条及び次条において同じ。)その他権利義務又は事実証明に関する書類(実地調査に基づく図面類を含む。)を作成することを業とする。
非独占業務1条の3に規定する業務にあっては、行政書士または行政書士法人でない者も業として行うことができる。但し、これに付随して、1条の2に規定する書類の作成を業として行った場合は、処罰対象となる。
第1条の3 行政書士は、前条に規定する業務のほか、他人の依頼を受け報酬を得て、次に掲げる事務を業とすることができる。ただし、他の法律においてその業務を行うことが制限されている事項については、この限りでない。
1.前条の規定により行政書士が作成することができる官公署に提出する書類を官公署に提出する手続及び当該官公署に提出する書類に係る許認可等(行政手続法(平成五年法律第八十八号)第二条第三号に規定する許認可等及び当該書類の受理をいう。)に関して行われる聴聞又は弁明の機会の付与の手続その他の意見陳述のための手続において当該官公署に対してする行為(弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)第七十二条に規定する法律事件に関する法律事務に該当するものを除く。)について代理すること。
2.前条の規定により行政書士が作成することができる契約その他に関する書類を代理人として作成すること。
本号は、委任契約の締結により代理人として民間対民間の契約そのものを代理し、かつ契約書類等の作成の代理を認める趣旨である。
ここには借金の繰り延べの書類や債務支払い期日の延長など契約に付随する行為も含まれる。「代理人として契約書類等を作成する」のであり、書類の作成を代理するのではない(監督官庁である総務省見解)。
3.前条の規定により行政書士が作成することができる書類の作成について相談に応ずること。
法定外業務条文に記されていない業務であり、法解釈上の業務、及び私人の地位において受任する業務。行政書士法の規定の適用は無く、民法その他の規定が適用される。
業務の制限「官公署」や「権利義務関係文書」は抽象的な概念であることから、官公署提出書類及び権利義務関係文書は形式的には広範なものになる。しかし行政書士法第1条の2第2項の行政書士業務制限規定があることから、他の法律(弁護士法、司法書士法等)においてその業務を行うことが制限されている事項については業務を行うことができない。結果として、行政書士が業として作成できる官公署提出書類及び権利義務関係文書の範囲は一定範囲に限定される。債務整理・交通事故・離婚等の法律事件や、会社設立や不動産についての相続等の登記関連業務、派遣労働者の許認可申請、ほぼ全ての税務申告等を行うことは法律違反となる。にもかかわらず、紛らわしい表現・宣伝(特にインターネット上において)をする行政書士会員が多数存在し、これを認識した日本行政書士会連合会は「会員ホームページ作成に際しての留意事項」として、「法令違反となる表現、または他士業法に抵触する恐れや誤解を招く表現などは避ける」との情報を会員に対して出すなど、その信頼向上に努めている。
業務の競合弁護士法72条の解釈と弁護士との職域関係司法制度改革以前から「弁護士がやらない業務を行政書士や司法書士がやる」として、司法書士や行政書士が紛争性のある法律事務を取り扱うケースが一般的にあった。この点、弁護士法72条の解釈と行政書士法に基づく行政書士業務との関係で問題が指摘されているところである。
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(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)
第七十二条 弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。
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法律事務所と類似の名称「法律事務所」という表現を用いることは弁護士法により、弁護士の事務所に限られているため、隣接法律職が法律事務所という名称を用いることは許されていない。しかしながら、この点について日弁連の見解では「法律事務所に類似する名称は、同法による規制の対象外である」(条解弁護士法/日弁連著)ため、隣接法律職が法務事務所、司法事務所等の類似名称を用いることは弁護士法に違反しない。
司法書士との競合登記申請の際の定款の作成業務登記申請の際に必要な定款の作成業務については、判断材料としては次の事実が確認されており、司法書士に扱えると主張する者と、司法書士には扱えないと主張する者がある。
1.行政書士に対しても、司法書士に対しても、定款作成が業務として扱えないとする司法判断はなされていない。
2.定款作成は司法書士の業務範囲外であると、司法書士法を所管する法務省が通達を出している。
3.司法書士による定款作成は、弁護士法違反になる場合もあると、法務省が通達を出している(前掲通達の「なお」以下)。また、日弁連ホームページにおいても警告が掲載されている。
4.定款作成は行政書士法第1条の2に規定する行政書士の独占業務であり、非行政書士が業務として行うことは禁じられている。ただし、弁護士法により弁護士は法律事務を業務とする資格者であると規定されているため、適法に定款作成を業とすることができる。
5.無償での定款作成は、弁護士法においても、行政書士法においても、違法とはならない。当然のことながら、司法書士の職業にある者が、業務外の行為として無償で行う場合も適法である。
6.日本司法書士会連合会が発行する月報司法書士2005年8月号68ページ末尾から69ページの冒頭部分において、次の通り記載されている。
登記以外の業務競合その他法務局に提出する書類の作成のうち国籍帰化申請については提出先が法務大臣であり、法務局は提出窓口でしかないため、司法書士との競合業務とされる(行政先例)。また検察審査会や執行官への競売申立も検察庁、裁判所ではなく、それぞれ独立行政庁である検察審査会、執行官あてにすることから司法書士との競合業務であるとの考えがある(行政書士業務必携/青山登志朗著)。なお、検察審査会に提出する不起訴処分に対する審査申立書は行政書士の業務範囲とする先例(昭和53年2月3日自治省行政課決)、検察審査会に提出する書類(審査申立書、取下書、証人申出書等)の作成業務は司法書士法第2条(現3条)の業務に準ずる(昭和36年10月14日民事甲第2600号回答・民月16巻11号157頁)とする先例がある。
社会保険労務士との競合歴史的に社会保険労務士は行政書士から分離したという事情があるため、社会保険労務士制度が誕生した1968年以前より行政書士であった者は社会保険労務士の資格を付与されている。また昭和55年9月1日までに登録した行政書士は、行政書士のままで社会保険労務士の独占業務に関わる申請書等の作成(社会保険労務士法第2条第1項第1号)および帳簿書類の作成(同第2号)を為すことが許される。
ただし、提出代行、及び事務代理は許されておらず、使者として行政機関に提出することができるのみである。当然、あっせん代理も出来ない。
税理士との競合
不動産取得税や事業所税に関する申告などの一部税理士業務を行うことができる(税理士法第51条の2、同施行令第14条の2)他、印紙税などの税理士業務とされていない税務手続(税理士法第2条、同施行令第1条)を行うことができる。
弁理士との競合弁理士法75条により「特許・実用新案・意匠・商標等に関する手続・異議申立・裁定に関する手続の代理(弁理士法施行令6条で定めるものを除く)、鑑定、政令(弁理士法施行令7条)で定める書類・電磁的記録の作成」が弁理士の独占業務とされている。逆にいえば上記に該当しない産業財産権に関する書面作成は行政書士と弁理士の独占競合業務、手続きについては非独占競合業務となる。
海事代理士との競合また、総トン数20トン未満の小型船舶についての手続き書類の作成は、以前は一部が海事代理士の独占業務であったが、近年の小型船舶登録法の創設によって、行政書士の独占業務となった(総務省・国土交通省照会回答)
登録行政書士になるには、「行政書士となるための資格」を有する者が、日本行政書士会連合会の行政書士名簿に登録を受けなければならない。なお登録の際には、登録料や会費として30万円前後が必要になる。その後も会費として毎年6万円前後が必要である。これらの金額は都道府県によって多少の差がある。この登録を行わないと、行政書士としての業務を行ってはいけないのはもちろんのうえ、行政書士として名乗ることも出来ない。
行政書士となるための資格
行政書士の義務
行政書士法人行政書士法人とは、業務を組織的に行うことを目的として行政書士が共同して設立した法人をいう。
行政書士会
日本行政書士会連合会都道府県単位に設立された行政書士会の上部組織。
詳しくは日本行政書士会連合会を参照。
監督
参考文献
関連団体
関連項目外部リンク
*
*きようせいしよし
---------------------------------------------- 出典:「フリー百科辞典ウィキペディア」(2009-01-01)
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