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囲碁
概要非常に古くから東アジアを中心に親しまれてきた遊戯で、そうした文化・歴史のなかで爛柯(らんか)をはじめとした様々な別称を持つ(#囲碁の別称とその意味)。また、近年インターネットを経由して対戦するネット碁も盛んである。
用具
ゲームの概要囲碁の目的は、できる限り大きな地(定義の詳細は、ルールの項参照)を確保することである。ゼロ和ゲームなので、上記の目的を自分は達成しやすく、相手には達成しにくいように、できるだけ効率良く石を配置することがゲームの戦略となる。
他のゲームと比較して、囲碁の著しい性質として指摘されるのが、ルールが単純で、石(将棋で言えば駒に相当)を置いて良い場所にきわめて制約が少ないことである。このことが、着手の選択肢に大きな幅を与え、戦略的には囲碁は他に類を見ない複雑なゲームとなっている。こうした事情から、チェスなどでコンピュータプログラムが世界チャンピオンを破り、将棋でもプロの実力に接近しつつあるのに対して、コンピュータ囲碁ソフトがいまだに(2007年現在)アマ中級程度という現状を生み出している。
またパスがルール上認められているのも特徴的である。二人で行うボードゲームでは、自分の手によって局面をこれ以上良くできない状況(戦略的飽和状況)等において、自分の手番でパスをする(なにも指さない)ことが有効となることがありえるが、将棋やチェスなど囲碁以外の多くのゲームではこのような場合であってもルール上パスができないため何らかの局面の打開を行うか、当面の状況を変えないような手待ちを行う必要がある。これに対して囲碁はパスが認められているため、パスをすることでこうした局面で最善の状態を保つことができるということは理論的には可能である。この場合、対局者双方がパスを繰り返してはゲームが進行しないため、両者のパスをもって対局の停止とすることがルール上定められている(対局者が合意した場合、対局はいつでも再開できる)。
戦争と囲碁には、著しい類似性が見られる。地を領土、石を兵力に例えると分かりやすい。のみならず、戦略の自由度などからも、現実のモデルとして利用されることもあり、古くから囲碁における格言などを現実世界の意思決定に応用するような書籍なども出版されている。また、駄目、布石、捨て石、定石など、数多くの囲碁用語は、日常用語としても使用される。
ルール着手に関するルール
図の場合、黒がそれぞれ1と打った場合、△の白が取り上げられる。
しかしその直後、今度は黒1子がアタリとなっている。白がbの地点に打って黒石を取り返すと、上図の形に戻ってしまう。この形をコウ(劫)と呼ぶ。
これを繰り返すと永遠に対局が終わらないため、同一局面の反復は禁止とされている。つまり上図で黒がaと取った直後に、白がbと取り返すのは反則となる。詳しくはコウの項目を参照。
勝敗に関するルール
なお、中国ルールでは、ほとんどの場合、日本ルールと勝敗判定は変わらないが、イメージは異なる。中国ルールにおいては、ハマではなく、盤上に残った自分の石を地に加えて自分の点数とする。日本ルールの場合ハマと地では地が圧倒的に多いためイメージとしては大きな地を囲いあうゲームであるが、中国ルールでは盤上の石は地より多いため、イメージとしては相手より多くの石を置くゲームということができる。
対局の進行序盤通常、対局が始まるとしばらくは布石が行われる。大体の場合は碁盤の四隅に打つ事から始まる。なお初手を四隅に打つ場合は、慣例的に右上隅に打つ。
近年では隅の着点は小目と星が全体の8割以上を占め、これ以外の着点はやや特殊な打ち方とされる。これはその他の隅の占め方(打ち方)が、地に甘いとされているからであり、現代は実利が重視されているということを表しているともいえる。
以下は主に19路の布石である。
中盤中盤は死活の絡んだ戦いになる。互いに死活がはっきりしていない弱い石を意識しながら打ち進める。
中盤でもっとも重要な概念は、厚みと実利であろう。全局的に影響が及ぶような石の配置を厚みといい、それに対して、局所的に地になりそうなところを実際に地とみなしたときの利益を実利という。経営で言えば、厚みが長期、実利が短期である。このバランスが重要である。とりわけ厚みは、使い方、またその効果の評価が難しく、コンピュータ囲碁プログラムにとって最大の難関の一つである。
中盤は、もっとも作戦が富んだところである。基本的な構想をいくつかあげると:
などがある。
終盤
ヨセは双方共に死活の心配がなくなり、互いの地の境界線を確定させる段階を指す。互いの地に、およそ10目以上の差がつくヨセを大ヨセ、およそ10目以下を小ヨセと呼ぶ。
基本戦略大まかに囲っている地域(これを模様という)と最終的な地との間には大きな違いがあり、ゲームの進行と共に、景色が大きく入れ替わる。相手が囲おうとしているところに石を突入させて(打ち込み)生きてしまえば、そこは自分の地となる。相手が地だと思って囲っている壁の一部を、国境を侵害するように切り取ってしまえば、地はそれだけ減ってしまう。逆に、相手が活きると思っている石を殺してしまえば、そこは自分の地となる。相手の地やハマと自分の地やハマを交換するフリカワリという戦略もある。戦争で条約締結まで領土が確定しないのと同様に、終局するまでは、地は確定しない。最終的に相手の石が生きることができず、かつ境界が破られないような領域が地となる。
一般に、両者が最善を尽くしている状況では、相手の石の活き難さ(地になりやすさ)と模様の広さ(大きな地になる可能性の大きさ)との間にはトレードオフの関係がある。相手の活きがほぼ見込めない領域のことを確定地と呼び、これを優先する考え方を実利重視という。これに対して、将来の利得を重視する考え方が、後述する厚みである。経営における短期と長期のバランスに似て、この実利と厚みの絶妙なバランスが囲碁の戦略できわめて困難なポイントである。とりわけ、厚みの形式的表現が極めて困難なことが、コンピュータ囲碁ソフトの最大の壁であるとも言われる。
布石基本的に序盤は隅から打ちすすめるのが効率が良いと言われる。これはある一定の地を得るために必要な石数が、中央より辺、辺より隅の方が少なくてすむためであり、その分効率が良いとされるためである。ただ、中央のほうが相手の石が活きにくいというメリットもあり、一概には言えない。近年のプロの対局では、第一手のほぼ全てが隅から始まっている。第一手を中央に打った対局も存在するが、たいていの場合、趣向と評される。
石の形囲碁のルールは非常に単純であるがそこから派生するほぼ必然的な着手の仕方、つまり石の形を理解することである程度の棋力を得ることができる。
もっとも有名なものにシチョウがある。これは「シチョウ知らずば碁を打つな」といわれるほど有名かつ重要な石の形で対局中よく現れる。これ以外でも「空き三角は愚形」「二目の頭見ずハネよ」等格言になっている石の形は多く存在する。
厚み碁を打つ上で重要な要素として厚みという考え方がある。言い換えれば勢力のようなもので、例として三間開きの真ん中に打ち込もうとする場合、ただの三間開きに打ち込むより開きを成す一方の石が2石の連続した形(中央方向に立っている)である場合のほうが、より打ち込みは無謀と感じるだろう。これは打ち込まれた石を勢力に追い詰めることで取ることができないにしても相当いじめられることが予想されるからである。これ以外にも有効に石を連続させておくことで大模様を形成できたり盤上で不意に発生したシチョウに対し、シチョウあたりの効果を発揮するなどあらゆる可能性をもっている。
石の働き対局中存在するこういった石の一団のなかでも特に働きのない石(それ自体で生きているわけでもなく相手の模様中に存在する)を俗に団子石と呼ぶ。
団子石は相手の地の中に放置して取り込まれる(モチコミ)のは大損なので当然連絡しなければならないが、この経過でも模様をあらされたり相手の模様の成長の手伝いになるなどかなりの負担を被る。
このため団子石の様な「弱い石」を作らないことである。
歴史実際の起源ははっきりとは判っていない。
しかし、囲碁の起源は中国で占星術の一法が変化・洗練されて今の形となったと言われている。三国時代の孫策とその部下(一説に呂範)が打ったとされる棋譜が現在に残されている。日本に伝わったのは奈良時代。その頃から広く遊ばれ正倉院には碁盤と碁石が収められている。清少納言や紫式部も碁をよく打ったとされ、枕草子や源氏物語中にも囲碁と思われるものが登場する。
室町時代末期からは碁打ちが公家や武将に招かれるなどの専業化も進むとともに、それまでの事前置石制から自由布石への移行も起こった。戦国時代には戦国武将たちに大いに好まれ、織田信長に日海(本因坊算砂)が名人の称号を許されたと言われる。江戸時代には幕府から家禄を受ける家元制度が成立し、囲碁の技術が飛躍的に向上するとともに、将軍御目見えによる御城碁が行われたり、碁会所が生まれるなど庶民の娯楽としても定着した。
囲碁は日本のみならず韓国、北朝鮮、中華人民共和国、台湾などでも盛んに行われ、その他にも北アメリカ・南アメリカ、ヨーロッパなどでも競技人口が増え続けている。今日、囲碁は世界80ヶ国以上で打たれており、世界選手権も行われている。
囲碁の別称とその意味囲碁には様々な別称・雅称があるが、それらの中には中国の故事に由来するものも多い。
そのような故事由来の異称の代表である爛柯(らんか)は中国の神話・伝説を記した『述異記』の次のような話に由来する。晋の時代、木こりの王質が信安郡の石室山に入ったところ童子たちが碁を打っているのを見つけた。碁を眺めていた王質は童子から棗を貰い、飢えを感じることはなかった。しばらくして童子から言われて斧を見るとその柄(柯)が朽(爛)ちていることに気付いた。王質が山をおり村に帰ると知っている人は誰一人いなくなっていた。
この爛柯の故事は、囲碁に没入したときの時間感覚の喪失を斧の柄が腐るという非日常な事象で象徴的にあらわしている。また山中の童子などの神仙に通じる存在から、こうした時間を忘れての没入を神秘的なものとして捉えていることも窺うことができる。この例と同様に、碁を打つことを神秘的に捉えた異称として坐隠(ざいん)がある。これは碁にのめりこむ様を坐って隠者にも通じるとしたもので、手談(しゅだん)と同じく『世説新語』の「巧芸」に囲碁の別称として記されている。手談は字の通り、互いに碁を打つことを話をすることと結び付けたものである。
囲碁の用具に着目した異称として烏鷺(うろ)がある。碁石の黒白を烏と鷺に例えている。方円(ほうえん)は碁石と碁盤の形からつけられたもので、本来は天円地方で古代中国の世界観を示していた。のちに円形の碁石と正方形の碁盤から囲碁の別称となった。「烏鷺の争い」とも言う。
『太平広記』巻四十「巴功人」の話も別称の由来となっている。巴功に住むある男が橘の庭園を持っていたが、あるとき霜がおりた後で橘の実を収穫した。しかし3、4斗も入りそうな甕のように大きな実が二つ残り、それらを摘んで割ってみると中には老人が二人ずつ入っていた。この老人達は橘の実の中で碁を打っていた。この話から囲碁は橘中の楽(きっちゅうのらく、―たのしみ)とも呼ばれる。
碁盤には、「天元→北極星」、「星→星」、「19路×19路=361 → 1年365日」、「四隅→春夏秋冬」など、自然界、宇宙を抽象的に意味づけている。
囲碁に由来する慣用表現
囲碁を扱った作品文芸
漫画
映画
その他
その他
脚注関連項目外部リンク
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---------------------------------------------- 出典:「フリー百科辞典ウィキペディア」(2009-01-01)
Text is available under GNU Free Documentation License.
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